スポーツの分野では、最新のテクノロジーを導入したより高度なトレーニングによって記録を伸ばすことができると言われています。
近年、アスリートのより良い練習環境の実現に繋がる手段として、XR技術の活用が増えています。XRを導入することで、試合会場の雰囲気をシミュレーションしながら練習したり、遠い場所にいる指導者にデータに基づく指導を受けたりすることが可能になりました。
そこで、今回の記事ではアスリートが実際にトレーニングで活用している最新のXR運用事例をご紹介します。
XR活用はアスリートにとってメリットがたくさん
はじめに述べたように、アスリートのトレーニングにXRを活用することは練習の効率化にとても役立ちます。
例えば実際の会場と同じ雰囲気で試合のシミュレーションができたり、離れた場所にいるコーチから指導を受けられたり、複数のプレイヤーが共同でトレーニングしたりできるといった様々なメリットがあります。
また、XR技術は練習中の怪我のリスクや個々人に寄り添ったトレーニングメニュー作成の難しさといった問題の解決策となりえます。
データと仮想空間を活用することで、選手により良い練習環境とより正確なフィードバックを提供できるのです。
XR活用をしやすいスポーツは?
いまXRが積極的に取り入れられているのは、主にトレーニングの領域です。VRを活用したジムのプログラムでは、ゲーム感覚で筋力・体力アップをすることができます。
またチーム競技や球技での活用も活発になっており、アメリカでは野球選手がVRで投手の投球を再現した映像を見ながらバッティング練習を行ったり、NBA審判の教育にもVRの仮想空間が使われています。
アスリート自身だけでなく、審判やコーチのような、彼らを支える人々のパフォーマンス向上にも役立つのもXR技術の大きなメリットです。
こんなにある!スポーツ・トレーニングのXR活用例
ここからは実際の競技ごとに、トレーニング機器、トレーニング方法とともにその魅力をご紹介していきます。
①ゴルフ
CanGolfというVRトレーニングアプリでは、お手本のモーションを真似するだけで初心者から経験者まで楽しくゴルフを練習できます。また、VR空間上のガイドに沿って打つことでスイングフォームを改善する効果もあり、ショットのスピードも増すとのこと。
(参考:イマクリエイト、業界初となるVRゴルフトレーニングのサービスを開始|イマクリエイト株式会社)
②けん玉
なんとVRでけん玉の練習までできてしまうんです。けん玉できた!VRでは玉のスピードを調整しながらプロの技を真似することで、なんと5分程度で新技ができるようになってしまいます。
(参考:VRけん玉トレーニングシステム開発の裏側:バーチャルならではの体験づくり|ima-create)
③マラソン
Ghost PacerというARグラスを装着すると、仲間とトレーニングできない時もバーチャルランナーと共に走ることができます。ランナーのペースは自由に変更でき、友人のデータを利用してレースを行うことも可能です。
④自転車
雨の日や外出できないコロナ禍でも、部屋でエアロバイクに乗ってヘッドセットを装着するだけで自然の中でのサイクリングが可能です。fit immersionは1つのキットにVRゴーグルとエアロバイクが同梱されているため、屋内トレーニングに最適です。
VRサイクリングでは、VZfit with Ring Racerというアプリもおすすめです。VZfitで遊べるモードは2種類あります。1つはMeta Questシリーズのヘッドセットと付属のTouchコントローラーで始められる「Standing」モード。もう1つはスマートサイクルトレーナーも組み合わせてバーチャルサイクリングを楽しめる「Cycling」モードです。
最大のポイントは、その走る舞台がGoogleストリートビューであること。つまり、アルプス山脈からオアフ島のビーチ、日本の農村、自分のふるさとまで。Googleストリートビューで訪れることができる場所なら、世界中どこでもあなたのサイクリングコースとなります。料金は最初の7日間は無料で、それ以降は月額9.99ドルです。
⑤野球
V-BALLERという打撃トレーニングシステムはプロ野球選手も利用しており、実投手の投球をVR空間上に再現します。打者のスイング傾向やクセを分析するだけでなく体の動きまでセンシングすることで急速や球種別のスイングをデータ化しています。
⑥水泳
Smart Swim 2というAR搭載の次世代水泳ゴーグルは、泳ぎの上達はもちろん、泳いだときの心拍数、ストローク数、タイム、距離、推定消費カロリーなどを把握できる画期的なデバイスです。
これらの記録を取れるだけでなく、ゴーグル内にデジタルコンパスが表示されているため、海や湖、川で泳ぐときも進行方向が把握でき、プール以外でも大活躍します。ゴーグルのバッテリー持続時間は最大12時間なので、アウトドアシーンでも問題なく使用できます。
Smart Swim 2を使えば、自分のフォームを改善できるほか、日々の水泳の記録もとることができるので、運動を継続するモチベーションアップにつながるのではないでしょうか。
また、記録という観点では、泳ぐのを一度止めてスマートウォッチをチェックしなくても、目の前でワークアウトに関する数字を確認できるのはARゴーグルならではのメリットと言えるでしょう。価格は249ドルです。
番外編:スポーツ観戦
XRを活用すると、臨場感あふれるスポーツ観戦も楽しめます。
こちらの記事では、AR技術を用いた最新のスポーツ観戦体験について紹介していますのでぜひ読んでみてください。
▽関連記事:ARでスポーツ観戦は変わる?ファン体験を向上させる拡張現実
https://www.xr-lifedig.com/trend/20240304_02
このように、昨今では様々なXR技術がアスリートたちのパフォーマンス向上に貢献しているのです。それだけでなく、普段スポーツを楽しむ人には新しい体験や上達を、スポーツをしない人にも観戦の没入感をもたらしてくれます。
XRを知ることで、スポーツがより身近に楽しく感じられること間違いなしです。
※記事内の価格は2024年6月時点の情報です。
▽スポーツ関連記事
・ARスポーツとは?体育にも採用される次世代の競技を解説
・水泳、ゴルフ、空のF1まで・・・誰をも熱狂させるスポーツ×XRの世界とは