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VRで視力回復?視力が回復する理由や事例について解説!

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「VRは目が悪くなりそう」といったイメージとは裏腹に、むしろ視力が回復する話があることをご存じでしょうか。

実はアメリカでは、VRを使った視力回復治療も登場しています。

本記事では、VRで視力が回復すると考えられている理由や、視力の回復を示唆する事例・研究などを解説します。

VRで視力が回復した事例はある

X(旧Twitter)で興味深い投稿がありました。

他にも「視力検査の結果が良くなった」「VR使用後は視界がスッキリして遠くが見える」など、同様の投稿が複数寄せられており、VRゴーグルを使って目が良くなったという話は、XR界隈では話題になっているようです。

実際、アメリカではVRを使った子どもの視力回復治療が認められており、中国ではVRが視力回復に寄与したとする事例もあります。

ただし、VRはまだまだ新しい技術で、VRの人体への影響についてはまだはっきりとしたことが分かっていません

ブルーライトによる目の疲れや、子どもが斜視になる可能性を指摘する人もいるなど、視力や目への悪影響がある可能性もはらんでいることも頭に置いておいてください。

VRによる視力回復は目の筋肉のリラックス効果によると考えられる

VRによって視力が回復したと感じられる理由としては、目の筋肉のリラックス効果が考えられます。

「遠くを見ると目が良くなる」と言いますが、まさにこの状況がVRによって実現されているらしいのです。

人が物体をはっきりと見るとき、目にある毛様体筋と呼ばれる筋肉が、眼球にある水晶体という部位の厚さを調節し、ピントを合わせています。
(参考:パソコンや集中作業などによる 眼疲労とそのケア|参天製薬

毛様体筋は遠くを見るときはリラックスし、近くを見るときは緊張します。近くの物を見つづけると、毛様体筋の緊張状態が続き、一時的に視力が悪化する「仮性近視」と言われる状態となります。

私たちは普段、スマートフォンを多くの時間見ています。

NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、回答者全体の4割以上が1日2時間以上スマートフォンで動画を視聴しているとのこと。

スマートフォンやパソコンを見るときの焦点距離(目と対象物のピントが合う距離)は0.3mから0.45mのため、長時間見つづけると、毛様体筋の緊張状態が続き、仮性近視になりやすいのです。

一方、VRの映像を見るときの焦点距離は1.7mから2m程度

スマートフォンよりも焦点距離が長いため、遠くを見て目をリラックスさせる状況と似た状態になるのだそうです。

視力が回復したというSNSの投稿は、VRの長期的な使用により、毛様体筋の緊張がほぐれ、仮性近視が改善されたことが一つの理由と考えられます。

VRが視力回復に役立つことを示す事例・研究3選

VRが視力回復に寄与することを示す事例や研究には、下記の3つが挙げられます。

  • Luminopia|米国食品医薬品局(FDA)で承認された子ども向け弱視治療法
  • Vivid Vision|VRゲームをプレイして成人の弱視の改善を図る治療法
  • 北京アドバンストイノベーションセンターの研究|10代前半の子どもの14%が視力を回復

Luminopia|米国食品医薬品局(FDA)で承認された子ども向け弱視治療法

Luminopiaとは、子ども(4〜7歳児)がVRゴーグルでコンテンツを視聴することで、視力回復を図る弱視治療法です。米国食品医薬品局(FDA)の承認を受け、アメリカでは医師の処方のもと、正式な治療法として提供されています。

弱視とは、医学的な定義で、視力の発達時期に何らかの原因でその発達が妨げられ、メガネやコンタクトレンズを使っても矯正できない状態のことを指します。

従来の子どもの弱視治療法では、視力が強い方の目を覆い、視力の弱い目を使用させることで視力を鍛えていましたが、Luminopiaでは両目を使って視力回復を図る方法です。

Luminopiaを用いた治療では、VRゴーグルを着けて自分の好きなテレビ番組などのコンテンツを視聴します。

その際に、それぞれの目に映る映像には、左右の映像を合わせると1つの映像になるように、相互補完的にマスキングがかけられ、加えて、視力の強い目の方はコントラストを下げた映像が流れます。

それぞれの目に異なるマスキングやコントラストの映像を映すことで、視力の弱い目を使わせるよう促しつつ、脳が左右の映像を1つの統一された映像として認識するよう訓練する治療法です。

実証実験によると、被験者の約62%が1日1時間、週6日、12週間の治療で視力の改善を実感したとされています。

Vivid Vision|VRゲームをプレイして成人の弱視の改善を図る治療法

Vivid Visionは、VRゲームをプレイして弱視の改善を図る治療法で、James Blaha氏によって、自身の斜視や弱視の改善をきっかけとして開発されました。

Vivid Visionで改善が見込まれるのは、立体視の能力です。

立体視とは、物体を立体的(3D)で見る機能のことで、視力を構成する要素の一つです。斜視や弱視の症状には、立体視の異常も含まれます。

効果を検証する実験では、成人17人の被験者がVivid Visionを40分×8セット、2か月にわたって使用したところ、被験者の90%以上が物体を立体視する能力が向上したとされています。

北京アドバンストイノベーションセンターの研究|9歳から12歳の子どもの14%が視力を回復

同じ距離にずっと焦点を合わせ続けるVRの性質が、目の疲れや潜在的な悪影響を引き起こす懸念がある状況を受け、中国・北京の研究機関が9歳から12歳の子ども50人を対象に、VRと視力の関係を確かめる実験をおこないました。

実験内容は、被験者にVRを使わせたときと、タブレットを使わせたときとの視力への影響を比較するものです。

被験者には、お絵かきアプリで1セット20分間のタスクを3セット(計60分)おこなわせたあと、計20分間の休息を取らせます。

視力や目の疲労感は、以下3つのタイミングで計測しました。

  • 実験前
  • お絵かきタスクの終了時
  • 休息後

実験の結果、各グループにおける視力が回復した被験者の割合は、次のようになりました。

  • VRグループ:14%(50人中7人)
  • タブレットグループ:7.7%(26人中2人)

VRを使ったグループは、タブレットのグループに比べ、約2倍の回復率が観測されました。

研究チームは、適切に目のピントを合わせる距離が1.7mに設定されていれば、VRは視力回復に好影響を与えるとの見解を示しています。

「VRは目を悪くするのではないか?」という世間のイメージに一石を投じる、研究事例の一つです。

ただし、この実験では1時間程度のVR利用についてテストしていますが、短期間で実施しているため、長期かつ頻繁な利用で同じ影響が見られるとは限りません。

また、実験に使用されたVRデバイスは高性能・高価格帯の製品「HTC VIVE」であるため、低価格や性能の低いデバイスを使った場合に、実験と同様の効果が得られるかは不明です。

VRによる視力回復で押さえておくべき3つのこと

VRを用いた視力回復を検討する際、次の3つを押さえておきましょう。

  • 子どものVR使用には注意が必要
  • VR酔いを起こす可能性がある
  • 一度固定された視力はVRを使っても回復が期待できない

子どものVR使用には注意が必要

年齢に関しては諸説ありますが、12歳までの子どもにVRを使わせるのは、なるべく避けた方がよいとされています。

人間の目の物を立体的に見る機能は12歳までに成長するといわれており、先にVRに慣れてしまうと、目の機能の成長が阻害される可能性があるためです。

VRの映像は目への負担が大きく、大人でも適度に休憩を挟むべきとされています。

さらにVRゴーグルは、そもそも子どもの頭の大きさや瞳孔間距離に合っていないため、子どもへの負担は大人よりも大きいと考えられます。

先に解説したLuminopiaの場合、目が発達途中である子どもだからこそ弱視を治せる可能性があるとも言えますが、治療を検討する場合は必ず医師に相談するようにしましょう。

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VR酔いを起こす可能性がある

VR酔いとは、VRの使用中に乗り物酔いに似た気持ち悪さを感じる症状です。

VR酔いは、頭や体の動き(体感)と映像内の動き(視覚情報)のずれによって起きると言われています。

VRを使用するときは適度に休憩をはさみ、具合が悪くなったと感じたら使用をやめるといった対策を取りましょう。

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一度固定された視力はVRを使っても回復が期待できない

すでに視力が悪い状態で固定されている場合、VRを使っても回復は期待できません。一口に「目が悪い」といっても、以下のように症状は人によって異なります。

  • (仮性)近視
  • 遠視
  • 乱視
  • 老眼
  • 弱視

このうち、仮性近視や発達段階の子どもの弱視以外のすでに固定された視力は、トレーニングをしても治ることはないとするのが医学界の通説です。

たしかに、大人の弱視改善に効果を示すVivid Visionのような例は出ているものの、近視については、一時的な視力改善の可能性はあるが、VRの使用が長期的な改善につながる有意な結果は得られなかったとする研究もあります。

視力回復を目指す際は、まず医師に相談することをおすすめします。

「VRで視力回復」と早合点はNG。慎重な情報収集と節度ある使用を心がけよう

VRは登場してからまだ日が浅い技術のため、人体への影響はまだはっきりとわかっていません。巷のうわさをうのみにせず、慎重に情報収集をしたうえで、節度のある使用を心がけましょう。

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