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映像の没入感によりこだわった!「XREAL Air 2 Pro」レビュー

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サングラスのようなフォルムで、掛けるだけで目の前に仮想の大画面を投影できるARグラス。

この市場をリードしているのが急成長中の中国企業、XREALです。

今回は2023年11月に同社から発売された「XREAL Air 2 Pro」をレビューします。

XREAL Air 2 Proってどんなデバイス?

XREALは2017年にNrealとして北京にて創業し、ARグラスの開発をスタートしました。2019年に「Nreal Light」(販売終了)を発売したあと、数々の製品をリリースしてきました。

2023年に社名を変更し現在、ARグラスで世界トップシェアを誇ります。

現在のラインナップは、今回ご紹介するXREAL Air 2 Pro(価格6万1,980円) の他、2020年発売の「XREAL Air」、2023年発売の「XREAL Air 2」、そして2024年発売の「XREAL Air 2 Ultra」の4モデルがあります。

XREAL Air 2 Ultraはハイエンド機種で、その他3機種の基本機能は、実は大きく変わりません。XREAL Air 2については過去にレビュー記事もあるので、こちらもご覧ください。

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では、XREAL Air 2 proは何が凄いのか? それはレンズの明るさ(暗さ)を調節できる点にあります。

本体とケース、遮光カバーとType-Cケーブルが付属しています。

「XREAL Air 2 Pro」はボタンを押すだけで3段階でレンズの明るさを調整できる「エレクトロクロミック調光」機能を搭載しているのが特徴です。

これにより周囲の明るさに応じて、レンズの遮光率を0%、35%、100%と、適切な度合いに調整し、鮮やかな映像を楽しむことができます。

周囲が暗いときは0%(レンズを明るく)に、周囲が明るいときは35%や100%(レンズを暗く)に調節します。

さらに、付属の遮光カバーを取り付けると視野が真っ暗になり、まるで映画館で映画を見ているかのように映像を見ることができます。右のテンプル(つる)のボタンを押すだけで透過率が切り替えられるのは便利でした。

本体は、一般的なサングラスと比べるとやや大きめではありますが、日常的にかけていても違和感がないデザインを採用。本体の重さは75gと軽く、掛けていても負担を感じません。

映像の輝度は500nits(nitsは輝度を表す単位)、視野角は46度と、他社のARグラスと比べても遜色ないスペック。なお、この表示性能はXREAL Air 2と同じです。

▽XREAL Air 2 Proの詳細はこちら
https://jp.shop.xreal.com/products/xreal-air-2-pro

掛け心地の良さ&迫力のサウンド

実際にXREAL Air 2 Proを試してみました。左のテンプルの先に付属のUSBケーブルをつなぎ、それをスマートフォンに接続するだけで映像が表示されます。

レンズの内側上部にはマイクロ有機ELパネルを反射するハーフミラーがあります。

表示される映像の大きさは50cm先(手が届きそうな距離)に約35インチぐらいのサイズ感。公称値は130インチ(4m先)ですが、視野角が46度ということもあり、そこまで大画面には感じませんでした。

ゴーグル型ではなくサングラス型なので、当然、視野の左右の端や下からは周囲の風景が見えます。視野の周辺に周囲の風景、その内側に黒い枠、そして真ん中に映像が見えます。

遮光率0%に設定すると屋外などの明るい環境では、映像はやや見えにくい印象。遮光率35%がよいバランスであると感じました。

対応するスマートフォンと接続するだけで映像が表示できます。

テンプルは通常のサングラスと比べれば太いものの、耳に当たる部分がやわらかいので掛け心地は快適です。強く締め付ける感じもありません。ただその分ホールド性はやや低いので、激しい動きをするとズレたり、外れたりするリスクがありそうです。

耳に当たる部分がやわらかく、掛け心地は快適。左のテンプルの先にUSBケーブルをつなぎます。

個人的に好感が持てたのがサウンド面です。ARグラスのスピーカーとは思えないほどのサウンドで、しっかりと迫力が感じられました。ただしその分、音漏れは大きくなるため、周辺環境への配慮は必要です。

充実した周辺機器で使い勝手がアップ

XREAL Air 2 Proは単体でもスマートフォンやノートPCなどと接続して画面を映し出すことができます。しかし、その場合、スマートフォンなどのバッテリーを消費してしまうという問題があります。これを解決できるさまざまな周辺機器があるのが、XRAELシリーズの魅力の一つです。

画像左上が「XREAL Adapter」、画像中央上が「XREAL Beam」(画像右上は付属のケーブル)、下段にあるのが「XREAL Hub」です。

例えば「XREAL Adapter」(8,980円)があれば、Lightningコネクタを介してiPhoneと接続が可能になります。また、HDMI端子からの出力が変換できるので「PlayStation 5」なども接続できます。

また、USB Type-C端子を2基搭載した「XREAL Hub」(5,980円)はスマートフォンなどを充電しながら、「XREAL Air 2 Pro」に映像の出力ができます。長時間使う場合に欠かせないアイテムです。

そして機能を大きく拡張できるのが「XREAL Beam」(1万6,800円)です。3.5時間使用できるバッテリーを内蔵したデバイスで、「XREAL Air 2 Pro」の映像表現を大きく拡張することができます。これは本体と合わせて買うことをおすすめします。

XREAL Beamの魅力はWi-Fiを介してスマートフォンとワイヤレス接続できること。動画サービスなどのワイヤレス投影は現在非対応ですが、ゲームやブラウザ画面などが投影できます。

さらに、XREAL Beamがあると3つの表示モードを切り替えることができます。

1つ目は、0DoF+ブレ補正の「Smooth Follow(スムーズフォロー)」モード。このモードは画面が視野の正面にある状態です。頭の揺れなどをくみ取って映像の揺れを緩やかにすることができます。

2つ目は「Sideview(サイドビュー)」モード。これは映像を正面ではなく、左上や右下などに表示するモード。正面でパソコンの画面を見ながら、別の映像を子画面で見たいときなどに良いかもしれません。

3つ目は3DoFの「Body Anchor(ボディアンカー)」モード。これは映像の位置を空間上に固定するモードで、顔の向きを変えても映像の位置は変わらず、同じ空間に留まり続けます。まさに仮想のディスプレイを”空間に設置した”感覚を味わうことができます。

XREAL Beamは2基のUSB Type-C端子を搭載しているので、充電しながら使うこともできます。

XREAL Beamは、USB Type-C映像出力またはHDMI出力をもつデバイスと有線接続することもできます。Nintendo Switchも大画面で楽しめます(使用時、Nintendo Switchの左右に付いているJoy-Conを取り外す必要があります)。

XREAL Air 2 Proをおすすめしたくなる3つのポイント

周囲の明るさに影響されず楽しめる

XREAL Air 2 Proは周囲の明るさに応じてレンズの遮光率を変えられます。これにより、昼・夜、カフェなどの屋外・自宅・・・など、さまざまな環境で映像を鮮明に楽しめるようになりました。これはXREAL Air 2には無かった機能です。

XREAL Beamで機能がアップ

他のARグラスにない特別な機能といえるのが、XREAL Beamによるさまざまな表示モードの活用です。XREAL Air 2 Pro単体での使用でも楽しめますが、XREAL Beamを利用することで他にはない使い方ができます。

普段使いができるデザイン

通常のサングラスと比べても、デザイン上の違和感がありません。新幹線などの移動中に装着しても、周囲の目を気にすることは無いはずです。なお、裸眼視力が悪い場合は、インサートレンズの取り付けができます。普段使用しているメガネの度数を元にレンズを作ることができ、取り付けることで映像をよりクリアに見ることができます。

デザイン上の違和感がなく、公共の場でも周囲の人の目を気にせず掛けられます。

ARグラスをいち早く体験したいユーザーにとって有力な選択肢

「XREAL Air 2 Pro」では場所を選ばずに手軽に大画面の映像をグラス内に映し出して楽しめます。大きなディスプレイを持ち運ぶ必要がないため、出張先などで映像コンテンツを楽しみたいときでも使えます。

ぜひ、XREAL Beamとあわせて使うことをおすすめします。画面を空間に固定できるBody Anchorモードや視界の端に小さい画面を置くことのできるSideviewモードなどを活用することで、ARグラスの未来的な使い方をいち早く体験できます。

最後にXREAL独自のソフトウェア「Nebula」にも触れておきましょう。XREAL Air 2 Proの使い勝手の幅を広げるツールとして、こちらも注目です。

NebulaをスマホやPCにインストールし、XREAL Air 2 ProとType-Cケーブルで接続すると、「仮想スクリーンレイアウト機能」により、XREAL Air 2 Proに最大3つまでディスプレイを投影することができるのです(この場合、XREAL Beamは使いません)。

Nebula for Windows β版の設定画面。スクリーン数(1~3)、縦横比(アスペクト比)を選ぶことができます。

1つのディスプレイで仕事をしながら、別のディスプレイでSNSやニュースなどをチェックする、といった使い方ができます。

しかも、3DoF対応でディスプレイ位置は空間上に固定されます。

実際に使ってみると、視野角が46度なので、複数の画面を同時に見るためには、Nebulaソフト上で、画面を遠くに配置するなど調整が必要です。

画面を遠くに離すと文字が見えにくくなるのは仕方がありませんが・・・。3DoFで画面を並べて見るというAR体験が手軽にできるのはよいと思いました。 

Nebulaは2024年11月現在、AndroidとMac向けが正式にリリースされており、Windows向けはベータ版が公開されています。

Nebulaはユーザーの声を反映してアップデートされていくものと思われます。その意味でXREAL Air 2 Proの使い勝手の幅は、今後も広がっていくことでしょう。

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https://www.xr-lifedig.com/tag/review

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この記事を書いた人
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