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手軽に大画面視聴を楽しむならコレ! 「Rokid AR Joy Pack」レビュー

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近ごろ、さまざまなメーカーからARグラスが発売され、気になっている方も多いのではないでしょうか?

今回はそのうちのひとつ、2023年12月に発売の「Rokid AR Joy Pack」を実際に使ってみました。その感想と、このデバイスのおすすめポイントをお伝えしたいと思います。

映画などを大画面で手軽に楽しみたい方にとっては、要チェックな一台です!

Rokid AR Joy Packってどんなデバイス?

「Rokid AR Joy Pack」は中国Rokid社が開発したXRデバイスで、国内ではドコモショップや家電量販店、Amazonなどで買うことができます。

ARグラスの「Rokid Max」と、Android TVを搭載しさまざまなサービスが利用できる「Rokid Station」がセットとなっている商品です。

Rokid Maxは装着することにより視野に大画面を投影できる、サングラス型のARデバイスです。

グラス内にはフルHD(1080ピクセル)表示のマイクロOLED(有機EL)パネルを配置。リフレッシュレートは120Hzで、動きの速い映像も滑らかに表示できます。

またパネルは600nitsと高輝度で鮮やかな映像表現が可能です。

▽Rokid Max・Rokid Stationの詳細はこちら
https://jp.rokid.com/

▽関連記事:リフレッシュレートって何?フレームレートとの違いも解説【知っておきたいXRの専門用語】
https://www.xr-lifedig.com/beginner/240408_01

Rokid Maxには本体(上)のほか、USB Type-Cケーブル(右下)、遮光カバー(左下)が同梱されています。さらにこれにRokid StationをセットにしたのがRokid AR Joy Packです。

競合製品として、XREALの「XREAL」シリーズやTCLの「NXTWEAR」シリーズなどがありますが、それぞれ細かな機能や性能に違いがあります。

早速、実機に触れながらRokid AR Joy Packの魅力を探っていくことにしましょう。

通常のサングラスのような装着感

Rokid Maxを装着したところ。最初はケーブルがやや気になりますが、慣れると違和感がなくなります。ちなみに長時間使っていると、額に当たる部分が温かくなります(画像はケーブルを外した状態で撮影しています)。

まず、Rokid Max本体が軽いことに驚かされます。本体の重さは約75g。通常のサングラスと比べて、そう大きくは変わりません。

使い方はとても簡単。Rokid Maxをケースから取り出し、付属のUSB Type-Cケーブルを左のテンプル(つる)の先に装着します。iPhone 15シリーズなどの対応したスマートフォンに接続すればグラス内に映像が表示されます。

▽対応デバイス一覧はこちら
https://jp.rokid.com/pages/product-compatibility

Rokid Maxは、いわゆる光学シースルー方式です。薄暗いサングラスのようなレンズ越しに見える周囲の景色に、映像を重ねて表示する仕組みになっています。

グラスを装着して、画面全体がうまく見えない場合は、付属のノーズパッドを取り付けることで視野を確保することができます。

▽関連記事:ビデオシースルー方式と光学シースルー方式って何が違うの?【知っておきたいXRの専門用語
https://www.xr-lifedig.com/beginner/240509_01

対応するスマートフォンに付属のUSB Type-Cケーブルを接続するだけでセットアップ完了。

付属のUSB Type-Cケーブルを使ってスマートフォンなど対応するデバイスと接続するだけで、Rokid Maxに画面が投影されます。

スマートフォンはそのままだと縦画面が表示されますが、横向きにすると、左右に広く全画面を表示することができます。映し出された映像は非常に鮮やかな印象です。

ARで実際の空間にどのように画面が表示されるかは、Rokid Japanのプロモーション映像をご覧ください。

Rokid Maxには「遮光カバー」も付属しています。これを取り付ければ、背景が透過ではなく真っ暗になり、まるで映画館にいるかのように映像を楽しむこともできます。

そして、Rokid Maxを特徴付ける機能が近視補正機構。

これは0.00D~-6.00Dまでの視力を補正して映像を表示できる機能で(Dは「ディオプトリー」、視力矯正用レンズの屈折力を表します)、これにより普段メガネをかけている人でも裸眼で映像をクリアに見ることができます。

筆者はかなり強い近視のため、これまでXRデバイスを使うとき、メガネ越しに装着したり、別途補正レンズを取り付けたりして使っていました。実際に近視補正機構を使ってみたところ、裸眼でもクッキリとした映像を見ることができました。

ちなみに補正されるのは映像だけなので、周辺視野はぼやけてしまいます。とはいえ追加のレンズが不要で、裸眼で映像が見られるのは快適でした。

左右それぞれに近視補正機構を搭載しており、普段メガネを使っている人でもクリアな映像が楽しめます。

Rokid AR Joy Packをおすすめしたくなる3つのポイント

1)明るくクリアな映像

Rokid Maxの最も良かった点が映像の美しさ。600nits(nitsは輝度を表す単位)の明るさに対応したマイクロOLEDは非常に鮮やかな映像表現が可能です。映画やドラマ、YouTubeなどのコンテンツを多数視聴しましたが、映像に不満を感じることはありませんでした。

明るい映像なら、そのままでもくっきり見えますし、暗いシーンが多い映画などを見る場合は「遮光カバー」を付けることで見やすくなります。

画面の大きさは、公式では、「6mから215インチの巨大スクリーンを見るような感覚」と謳われています。今回の体験では、視聴距離約1メートルで43インチ相当、視聴距離約2メートルで55インチ相当のテレビを見ているような印象を持ちました。

視野角は50度とARグラスの中では広い方で、目の前に、ほぼいっぱいに画面が表示されているようなイメージです。

なお、視野の上部に少しケラレ(黒い影)が見えることもありますが、グラスを掛ける位置などを調整すれば解消できます。

2)軽快にサッと使える

Rokid Maxの本体の重さは約75gと非常に軽量。専用ケースに付属ケーブルと一緒に収納した状態で約330g(実測値)なので、普段、使っている鞄に入れて持ち歩くことができ、出先で立ち寄ったカフェなどで、サッと取り出して使うこともできます。

専用ケースに入れて持ち歩くことができる。

ただしその場合、音漏れに注意しましょう。実際に試してみたところ、音量調節10段階のうち音量5ぐらいでも、50cmぐらいの距離で音漏れが聞こえました。イヤホンのような密閉型ではなく、オープン型なのでどうしても音漏れが発生してしまいます。

ちなみに音声は、Bluetooth接続できるワイヤレスイヤホンで聞くことも可能。そうすれば音漏れはほぼ防ぐことができますね。

3)Rokid Stationとの併用でさらに楽しくなる

Rokid Maxは付属のRokid Stationを利用することで、使い方の幅がぐっと広がります。両者がセットになったRokid Station Joy Packをおすすめする理由は、まさにここにあります。

便利な機能のひとつがAndroid TV。Android TVは、Googleがテレビなどの映像機器向けに提供しているシステムで、この機能を使うとさまざまな動画サービスを視聴することができます。

使い方は簡単。Rokid MaxとRokid Stationを専用ケーブルでつないでWi-Fiに接続し、あとはYouTubeやAmazonプライム・ビデオ、Disney+など、利用したい動画配信サービスにログインすれば、お好きな映画やドラマを大画面で視聴可能です。

ちなみに、Netflixに関してはRokid Stationを使っての視聴には対応していませんが、Rokid Maxと対応デバイスを有線接続する形、もしくは、グラス内のWebブラウザ上でNetflixを開けば視聴することができます。

自宅に大型テレビがなくても、迫力の映像を楽しむことができます。もちろん屋外で見ることだって可能です。

Android TVの画面操作はRokid Station本体または、付属のRokid Station リモコン(記事冒頭画像 左下)でできるので便利です。Rokid Station リモコンの操作も快適でした。

Rokid AR Joy packに付属するRokid Station。5,000mAhのバッテリーを内蔵し、Wi-Fiに繋ぐだけで使えます。

もう1つ、Rokid Stationが便利なのはミラーリング機能が使えるところ。Rokid Stationとスマートフォンを同じWi-Fiに接続すれば、スマートフォンの画面をワイヤレスでRokid Maxで見ることができます。

この機能を使えば、Rokid Maxが対応していない(USB Type-Cケーブルで接続しても使えない)スマートフォンでも画面を投影できます。

スマートフォンを大画面で見る――。ものすごく単純なことではありますが、これは見やすくて良いと思いました。

ただし、デジタルコンテンツ保護の技術、HDCP(High-Bandwidth Digital Content Protection)により、ワイヤレスでミラーリングした場合はAmazonプライム・ビデオ、Netflixなどの動画配信サービスを見ることはできません。

もっとも、これはRokid Maxに限った話ではなく他のデバイスでも同じなので、デメリットという訳ではありません。

Rokid StationとAndroid端末を同じWi-Fiにつなぎ、Android端末の「クイック設定パネル」から「画面のキャスト」を設定すれば、Rokid Maxにスマホ画面を投影することができます(上は設定画面)。

さらに、Rokid Stationがあればゲームを大画面で楽しむこともできます。別売りのアダプタ「Rokid Hub」を介せばNintendo Switchと接続可能。HDMIをUSB Type-Cへと変換するアダプターを介せば、PlayStation 4 Slim/5、Xbox Series X/Sと接続することができます。

最後にRokid AR Joy Packを仕事で使うのはアリかという視点でひと言。これは大いにアリです――。

試しにスマートフォンでGoogleスプレッドシートを開き、Rokid Maxで見てみました。

大きなスプレッドシートになると、どうしてもスマートフォンの画面では見にくくなりますが、横画面にしてRokid Maxに投影すると、とても見やすくなります。

Rokid Maxを、ノートPCの2つ目の画面として使うのも良いと思いました。Rokid MaxをウィンドウズPCにつなぎ、画面設定で「表示画面を拡張する」を選べば、外出先のカフェでも、新幹線や飛行機の移動中でもデュアルディスプレイで仕事ができます。

ちなみにこのときの画面の見え方は、自分の真正面の空間に仮想の大画面が投影された状態で、視線を少し下に落とすとノートPC画面(とキーボード)が見える、という感じになります。

動画視聴を目的とするユーザーには有力な選択肢

Rokid AR Joy Packは簡単にセットアップができ、本体が軽く、日常的に持ち歩くことができます。映像の美しさは、スペックから期待される通り満足のいくものでした。

競合製品と比べるとやや高価ではありますが、iPhone 15や対応しているAndroidスマートフォンを持っていて、「いつでもどこでも大画面で映像を楽しみたい」という方には、特におすすめの一台ということができます。

「実機を触ってみたい」という方は、対象のドコモショップや家電量販店に、一度足を運んでみてはいかがでしょう。

▽購入先一覧はこちら
https://jp.rokid.com/pages/store-list

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https://www.xr-lifedig.com/tag/review

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この記事を書いた人
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