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カラーパススルー対応VRヘッドセットの本命「Meta Quest 3」レビュー

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現在、最も手軽に本格的なVR(仮想現実)を体感できるのが、FacebookやInstagramなどを展開するMetaのVRヘッドセット(VRゴーグル)、Meta Questシリーズです。

いわゆるスタンドアロン型、つまりスマートフォンやパソコンに接続することなく単体で使えるのが特徴です。

今回はその最新機種であり、人気モデルでもある「Meta Quest 3」を試しました。装着するとまさに仮想空間に入り込んだ感覚を体験することができる、おすすめのデバイスです。

「Meta Quest 2」とは明らかに違う充実のスペック

Meta Questシリーズは2019年に発売された「Oculus Quest」が始まり。その後、2020年に「Oculus Quest 2」(2021年、Meta Quest 2に改称)が、そして2023年11月にMeta Quest 3が発売されています。

同シリーズの特徴は、6DoFに対応した2つのコントローラーを搭載していること。ヘッドセットに搭載されているセンサーとの組み合わせにより、VR空間内で自由自在に動き回ることができます。

▽関連記事:3DoFと6DoFの違いとは?【知っておきたいXRの専門用語】
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Meta Quest 2と比べて最新モデルのMeta Quest 3は、機能・使い勝手ともに大きく進化しています。中でも大きいのが、カラーでのパススルー表示に対応したことです。

リアルタイムのカラーパススルー映像に感動!

これはMeta Quest 3を装着したままで、周辺の様子を、リアルタイムでカラー映像として見られる機能です。VRヘッドセットをかけたまま、周囲の様子が見られるというわけです。

映し出した周辺の様子の上に、仮想ディスプレイやオブジェクトを重ねて映し出すこともできます。

Meta Quest 3のカラーパススルー映像のキャプチャー画像。部屋の様子が映し出され、空間にウィンドウが浮かび上がっています。

Meta Quest 2はグレースケールパススルーだった上に、ディスプレイの解像度がやや低かったため、もの足りない印象がありました。しかしMeta Quest 3のカラーパススルー表示は見やすく、使いやすくなっています。

そしてもう一つ大きく変わったのが、ゴーグル部分がスリムになったことです。

Meta Quest 2はゴーグル部分が大きかったため、長く使っていると顔・頭・首に負担を感じました。

しかし、Meta Quest 3はMeta Quest 2よりも約40%薄くなったため(接顔パーツ:顔にフィットさせるためのパーツを除いた部分)、重心バランスが良く、重さを感じにくくなっています。このため長時間利用しても、それほど負担は感じません。

Meta Quest 2ユーザーはセットアップも簡単

実際にMeta Quest 3を使ってみました。過去にMeta Questシリーズを使ったことがある人はセットアップがとても簡単です。電源を入れて頭に装着し、左右のコントローラーを持つだけで準備は完了。

Meta Questシリーズを初めて使う人は、使っているスマートフォンにMeta Horizonアプリをインストールし、Metaアカウントを作成します。あとはヘッドセットを装着してWi-Fiに接続し、アカウントを入力してスマホとペアリングすれば準備は完了です。

装着して最初に見えるのは、バーチャル空間上にウィンドウが開いている場面です。左右のコントローラーを使って動き回ったり、メニューを設定したりするなど、自由に操作ができます。

Meta Quest 3で最初に表示される画面。背景は自在に変更が可能。ストア画面でアプリの購入やダウンロードができる。

まずは、画面の指示に従って周辺にぶつかるモノがないように片付けたり、プレイする際に歩き回る範囲を設定しましょう。

基本的な使い方は“スマートフォンと同じ”です。ゲームやコミュニケーションツールなど、好みのアプリをストアからダウンロードしましょう。

まずは、VRアバター同士で交流ができる「VRChat」や、両手に持ったサーベルで飛んでくるオブジェクトを切ってスコアを競う「Beat Saber」などの定番アプリを試してみるのがおすすめです。

▽関連記事:【VRChat初心者講座#01】今更聞けない!?世界最大のVRのSNS「VRChat」の始め方
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Meta Quest 3をおすすめしたくなる3つのポイント

Meta Quest 3の価格は7万4,800円からです(2024年8月20日現在。サブスクリプション7,200円分含む)。ここでは旧機種Meta Quest 2と比べながら、ポイントとなる魅力をお伝えしたいと思います。

ディスプレイが変更されて高画質になった

Meta Quest 2のディスプレイ解像度は片眼ごとに1,832×1,920ピクセルだったのに対しMeta Quest 3は2,064×2,208ピクセルと、より高精細になりました。

高精細になったためでしょう。Meta Quest 2で若干見えていたドットの隙間が見えなくなりました。さらに、レンズも薄型で映像が歪みにくいパンケーキ型に変更され、よりクリアな映像が楽しめるようになりました。

スペック上の数字で見ると差はわずかですが、実際に装着してみると違いはハッキリ体感できます。

VRゲームや動画サービスなどで、画質を重視するならMeta Quest 3がおすすめです。さらに画質だけでなく音質も改善されています。

高画素化に加えて薄型のパンケーキレンズを採用したことも、画質の良さに貢献していると思われます。

カラーパススルー対応で本格的なMR体験

先ほども述べましたがMeta Quest 3のカラーパススルー表示は秀逸です。

もちろん、裸眼で見るような画質ではなく、スマホやパソコンの小さな文字などは読み取れないこともありますが、目の前の景色を映像で映しながら、その上にウィンドウやオブジェクトを並べたり、表示できたりする、MR(複合現実)を手軽に体験できます。

Meta Quest 3には手軽にMRが楽しめるゲーム「First Encounters」がインストールされており、手軽にMR体験ができます。

カラーパススルーの画質やMR機能に関しては、まだまだ伸びしろがあると感じる部分もありますが、これらの機能をいち早く体験できるメリットは大きいと言えるでしょう。

重さを感じず長時間使える

VRアプリやゲームは長時間ヘッドセットを装着したままでプレイすることがあります。このときに大切なのが、フィット感や顔、首への負担です。

Meta Quest 2には、純正の別売りアクセサリーやサードパーティ製のヘッドベルト、重心バランスを取るためのバッテリーなど、さまざまな製品がありました。

しかしMeta Quest 3なら、それらを利用しなくても負担が少なく、疲れにくいと感じました。疲れにくいからこそ、VR・MR体験にじっくり浸れるという訳です。

長時間、使うためには「重くないこと」が求められます。Meta Quest 3は現時点で、とてもバランスの良い機種ということができます。

VR・MRを遊びつくすベスト・チョイス

Meta Quest 3は手軽にVRとMRの体験ができる魅力的なVRヘッドセットです。

PCに接続することなく単体で使用できますし、さらに高性能GPUを搭載したパソコンと連携すれば、高画質のVRゲームも堪能できます。

OSのアップデートもあり、マルチウインドウ表示など、新たな機能も追加されています。VR、MRを今堪能したいなら、Meta Quest 3はベストチョイスだといえます。

▽関連記事:仮想スクリーンを並べて遊ぶ? 仕事する? 〜OSアップデートから読み解くMeta Questのこれから〜
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