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VR技術とは?使われている技術や活用事例を解説!

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VR技術はユーザーを仮想空間に没入させる革新的なテクノロジーです。

この技術はエンターテイメント分野だけでなく、医療や不動産、自動車産業といったビジネス分野でも活用が進んでいます。

本記事ではVR技術の概要や特徴、実際の活用事例を解説します。

VR技術とは?|人工的な仮想世界を実世界のように体験できる技術

人工的な仮想世界を実世界のように体験できる技術

VR技術とはコンピューターでデジタルの仮想世界を作り上げる技術です。

VRは「Virtual Reality」の略で、仮想現実を意味します。ユーザーはこのVR技術を利用することで、仮想世界を現実のように体験できます。

VRを作るために使われている技術

VRを作り上げるために使用されている技術をまとめて解説します。これから紹介する技術によってVRの質が決定します。

レンズ技術 │ デバイスの小型化と性能を向上させる

VR体験を向上させるためには、デバイスの小型化と軽量化が重要であり、それに直結する技術こそがレンズ技術です。

VRデバイスにおいて、レンズはディスプレイで投影された映像を目まで届けるために用いられていますが、近年VRデバイスでトレンドとなっているのがパンケーキレンズです。

パンケーキレンズとは、パンケーキのように平らで薄くコンパクトかつ軽量なレンズです。このレンズを用いると、軽量で付け心地の良いVRデバイスを作ることができます。

ディスプレイ技術 │ 映像品質を決める

VRの没入感に直結する映像の品質はディスプレイ技術で決まります。

投影されるVR映像の鮮明さは、視野の1度(目で見たときの視野の角度のうち、1度分の広さ)の範囲にどれだけ多くの画素が含まれているかを示す「システム解像度(PPD:Pixels Per Degree)」で表されます。

システム解像度が高ければ高いほどVR映像は鮮明になります。

なお、一般的なVRデバイスのシステム解像度は16程度と言われていますが、「Meta Quest 3」や「Apple Vision Pro」については20後半から30前半程度、特に高い製品であるVarjo社の「Varjo XR-3」では、画像中心のシステム解像度を最大で70まで設定可能です。

<製品ごとのシステム解像度比較>

製品名

PlayStation VR2

Meta Quest 3

Apple Vision Pro

Varjo XR-3

解像度(PPD)

19(推定※)

25

34(推定※)

最大70

※参考:Apple Vision Pro teardown uncovers pixels the size of red blood cells | engadget

視差技術 │ 映像に立体感を生み出す

視差技術は映像に立体感を生み出す技術です。

左右の眼にわずかに異なる対象物を映し出すことで映像に立体感をもたらします。この技術により、ユーザーは仮想現実の世界で距離感や奥行きを認識できるようになります。

両眼レンズを用いた立体感を出す視差技術は「ステレオ視差」とよばれています。

一方で、両眼レンズを使用せずに仮想現実に立体感をもたらす「視差バリア」という技術もあります。視差バリアは、街中のデジタルサイネージやニンテンドー3DSなどのゲーム機に使用されています。

トラッキング技術 │人間の動作を正確に追跡し映像に反映する

人間の動作を追跡し映像に反映する技術をトラッキング技術と言います。

トラッキング技術の向上でVR空間でも自然な動作が可能となり、ユーザーのVR体験が大幅に向上します。

トラッキング技術の概要を次の表にまとめました。

各種トラッキング技術

概要

ヘッドトラッキング

・ユーザーの頭の動きを追跡

・360度動画などに対応

ポジショントラッキング

・ユーザーの位置を追跡

・移動を反映した体験型コンテンツに利用

ハンドトラッキング

・手の動きを追跡

・コントローラーなしで直感的な操作が可能

アイトラッキング

・視線の動きを追跡

・視線での操作や高度なコミュニケーションを実現

モーショントラッキング

・全身の動きを追跡

・手足の動きをリアルに再現

「トラッキング技術」については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

▽関連記事:「トラッキング」方式の種類とは?どんな違いがあるの?【知っておきたいXRの専門用語】
https://www.xr-lifedig.com/beginner/240521_01

レンダリング技術 │3D空間をリアルタイムで描写する

レンダリング技術は演算・データ処理によって、仮想現実世界をリアルタイムで描写する技術で、VR空間内の光や陰影、対象物の質感などを表現します。

また、レンダリングはGPU(画像処理装置)の性能に左右され、高性能なGPUはユーザーのVR体験を向上させますが、同時にVRデバイスの高価格化につながります。

音響技術 │使用者の没入感を高める

VRの品質向上には音響技術も重要です。音の発生源や位置、音の変化の正確な出力が求められます。

3Dオーディオ技術には、次の3つの方式があります。

  • オブジェクトベース:三次元空間に音源を配置し、立体的に音を感じさせる
  • チャンネルベース:事前に音を出すスピーカーを割り当てる
  • シーンベース:リスナーを取り巻く空間全体の物理情報を記録し再生する

VRデバイスにはオブジェクトベース方式の音響技術が採用され、顔を向けた方向にあるオブジェクトの音を立体的に聴くことができます。

VR技術を活用する際の3つのメリット

VR技術活用のメリットは次の3つです。

表現の自由度が高く、様々なシーンでの活用が期待できる

VR技術はエンターテイメントだけでなく、ビジネス、医療、教育など多様な分野で活用が期待されています。

現実に近い感覚で、時間や場所を問わず利用できる

現実世界では、観光やスポーツなど、通常その場所に行かなければ体験できませんが、VR技術を活用したコンテンツを使うことで、使用者は自身の好きな時間や場所で、現実世界と近い感覚で望む体験をすることができます。

事業運営にかかるコスト削減につながる

VRコンテンツは一度制作すれば多数のユーザーで共有できます。社内教育やミーティングにVRを利用することで、移動コストや施設維持費の削減も期待できます。

VR技術を活用する際の2つのデメリット

VR技術活用には次の2つのデメリットがあります。

導入コストが高い

VRコンテンツの利用には、VRデバイスや専門ソフトウェアが必要です。コンテンツ制作にはプログラミングやデザインなどの大きなリソースも必要です。

健康への影響

長時間のVR利用は健康被害をもたらす可能性があります。特にVR酔いが広く知られており、VRを利用する際は利用時間を定めるなどのルールが必要です。

ビジネス分野におけるVR技術の活用事例とは?

エンターテイメント分野だけでなく、VR技術は医療分野や不動産分野、自動車分野などビジネスシーンでも利用が拡大しています。

医療分野でのVR活用事例

VR技術は手術のシミュレーションでも活用が進んでいます。具体的には患者のCT、MRIデータをもとにした3Dモデル作成、熟練医師によるリモートでの手術・診断アドバイスが挙げられます。

また、患者の治療にもVR技術は使われており、リハビリテーション予防医療などでVRコンテンツが利用されています。

▽関連記事:こんな手術なら、されてみたい!?医師の“AR手術”導入で、ヘルスケア業界に起きる革命
https://www.xr-lifedig.com/usecase/20240311_02

不動産分野でのVR活用事例

不動産業界ではすでに物件内覧サービスでVR技術が活用されています。

顧客は物件に足を運ばなくても、VRデバイスを通じて物件内を360度見渡せ、気になる箇所のズームや、昼や夜の時間帯での部屋の変化も自在に確認可能です。

顧客側の利便性向上だけでなく、不動産業者側にとっても人件費や移動費コストの削減ができます。

自動車分野でのVR活用事例

自動車分野では、製造プロセスの最適化社員教育でVR技術が活用されています。

工業製品の製造プロセスでは、熟練技工からアドバイスを受ける際にVRが使われます。工場を再現した環境で受けることができるので、習熟期間の短期化が望めます。

また、VRで再現した製造プロセスを技術者間で共有することで、課題の共有や明確化にもつながります。

VR技術の進展で、これまでとは違う未来がすぐ目の前に!

昔はVR技術を活用したコンテンツを見てもなかなか没入感が得られないものも多かったですが、VR技術の進歩は凄まじく、大手企業もVRイベントに参入したりと、VRChatなども盛り上がりを見せています。

VR技術のさらなる進化と、それに伴うXR界隈の発展から目が離せません。

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この記事を書いた人
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