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「ARおじさんᯅ / MESON CEO」小林 佑樹氏が徹底予測!2025年のXR動向

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XRソリューション開発事業社の株式会社MESON(メザン)は、「まなざしを拡げる」をパーパスとして掲げ、想像力豊かな視点や新たな捉え方をもたらすソリューション開発を行っています。

今回お話を伺う小林 佑樹(こばやし ゆうき)さんは同社でCEOを務める傍ら、X(旧Twitter)で「ARおじさんᯅ / MESON CEO」を名乗り、XRの最新動向や自社のソリューションについて積極的に発信しています。

市場が広がることが期待されているXRの“エヴァンジェリスト”と言って差し支えありません。そんな小林さんに、これからのXRの業界・市場動向について予想していただきました。

XRデバイスの方向性が定まった2024年

2025年以降、XRは一体、どうなっていくのか——という話の前に、まずは2024年の動向について、小林さんに振り返ってもらいました。

2024年はApple Vision Proが登場したことで、XRに再びフォーカスが当たった年でした。日本企業を含め、数多くの企業がXRデバイスを発表し、市場が盛り上がった一年だったと思います」(小林さん)

Apple Vision Proが登場する以前にも、Meta Questシリーズのような一般ユーザー向けXRデバイスはありました。しかし、そうしたデバイスはどちらかというとゲーム機としての利用に特化したものが多かったと小林さんは指摘します。

そんな中、Apple Vision Proがゲームなどの用途に限らない、私たちが今まさに使っているコンピュータに近いデバイスとして、強いインパクトをもって登場しました。

「これにより『XRデバイスはコンシューマーにも日常生活の中で十分利用できるデバイスである』ということが多くの人たちに認識されたと思います」(小林さん)

この出来事を、2007年にiPhoneが登場してスマートフォン(スマホ)が社会に定着したことと重ね合わせ、小林さんは次のように続けます。

iPhoneが登場する以前は、“スマートフォン”と定義されていたデバイスは物理キー(ボタン)を備えたものでした。しかし、AppleがiPhoneを発表したことで、フルスクリーンの画面を備え、直接デジタル情報に触れることができるデバイスをスマートフォンとして再定義しました。XRデバイスも、Apple Vision Proが登場したことでデバイスのスタンダードとして再定義されたと考えています」(小林さん)

お話を伺った株式会社MESONのCEO 小林 佑樹さん。

2025年は「OS競争」が激化する

では今後、XR業界・市場はどうなっていくのでしょうか?

さまざまなメーカーがXRデバイスを発売していく中、それらのデバイスの上で動き、XRデバイスをより使いやすくするような、OSやプラットフォームの競争が激しくなると予想しています」と小林さん。

Appleは「visionOS」を、Metaは「Meta Horizon OS」をそれぞれ独自路線で開発しました。Appleは自社が提供するApple Vision Pro上でのみvisionOSを提供していますが、MetaはMeta Horizon OSをMeta Questシリーズ以外のデバイスにも提供できるようなオープン戦略をとっています。

そんな中、2024年末にGoogleが満を持してXRデバイス向けOS「Android XR」を発表しました。

Appleは今後も独自路線を貫くと思われますが、Googleはさまざまなメーカー、メディアを巻き込みながらオープンなプラットフォームとしてAndroid XRを提供していくでしょう。そのGoogleに対して、Metaがどういった動きをするかが注目です」(小林さん)

スマホの世界に目を移すと、数多くのメーカーが自社で開発したスマホに「Android」を採用し、Android上で動くアプリが豊富に存在します。それらのアプリがAndroid XRでそのまま利用できるところがポイントです。XRが一気に広まるきっかけとなるかもしれません。

一方でMeta Questは、全世界で1,000万台の出荷数を誇ります。その母数をどう活用していくかが、今後のMetaの闘い方のポイントとなるでしょう。場合によってはGoogleとMetaが手を取って協力し、Appleに対抗する可能性もあるかもしれません」(小林さん)

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ライトなARグラスはAI搭載で普及が拡大しそう

「Ray-Ban Meta」に代表されるような、ライトなグラス/サングラスタイプのスマートグラスについてもお話を聞きました。小林さんは今後、国内外で新製品の立ち上がりが加速すると見ています。

AIと会話することでグラスに情報を表示するタイプの製品が色々出てくると思いますが、同様のことをスマホでやるよりも手軽で、得られる情報量も多いはずです。価格も手頃なものが出てくるのではないでしょうか」(小林さん)

XR業界をリードするAppleとMetaについては——。MetaはRay-Ban Metaをリリースしたのに加え、「Orion」をすでに発表していますが、両社とも「ユースケースに応じた複数の製品を揃えていくだろう」と小林さんは考えています。

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日本のXR業界が世界を牽引する

先ほど小林さんが述べたように、2024年は、XRデバイスはコンシューマーも日常生活で十分利用できるデバイスであることが多くの人たちに示されました。

「それを受けて今後は私たちのようなデベロッパーが、ユーザーのニーズに応じたソリューションを作っていくことが重要ですし、XR市場を広げる上でもポイントだと思っています」(小林さん)

小林氏が率いる株式会社MESONの今後についても伺いました。

現在同社は、XRを使って、企業の商品やブランドメッセージをエンターテインメントの要素・演出を加えて表現する「ビジネスエンタメ体験」事業を展開しているところだそうです。

「ビジネスエンタメ体験により、企業や製品・サービスに対する理解と感動を同時に顧客の心に伝えることができます。例えば、カーボンニュートラルに取り組む企業が『2050年にどのような世界を実現しようとしているか』、その景色をXRで見て体験してもらうことだってできます」(小林さん)

株式会社MESONの「ビジネスエンタメ体験」により、企業は自社の商品やメッセージを空間コンピューティング技術(XRなど、デジタルと現実の体験を統合する技術)を通して、より魅力的に顧客に訴求することができるといいます。(株式会社MESON 提供)

小林さんには、日本発のテクノロジーを再び世界にアピールしたいという強い思いがあるそうです。「MESON」という社名も、日本初のノーベル賞受賞者・湯川 秀樹博士の中間子(Meson)理論に由来するのだそう。

「日本はスマホやインターネットの登場以降、どんどん世界での存在感を失ってしまっており、私はこの状況をなんとか打開したい。XRデバイスの普及はコンピューティングの歴史を1つ前に進める大きな出来事で、市場のバランスが大きく変わるタイミングです。その変化の中でMESONが、XRに関係するテクノロジーを生み出し、世界を驚かせることで再び日本の存在感を世界に示すことができると考えています」(小林さん)

同社の今後の動きにも注目が集まります。

冒頭でもご紹介したように、小林さんは、一人でも多くの人たちにXR技術について興味を持ってもらえるように「ARおじさんᯅ / MESON CEO」というXのアカウントから情報を発信されています。

Xアカウントをお持ちの方はぜひご覧ください。大望を抱く株式会社MESONのXRソリューション情報と、XRの最新動向がチェックできますよ!

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