
自宅、カフェ、職場や学校。どこからでも「メタバース」という異世界に入り込み、ほかのユーザーと会話を交わしながら英語を学べる——。
そんな「メタバース英会話学習」に注目が集まっています。
メタバースを活用するメリットはどのような点にあるのか?その仕組みはどうなっているのか?株式会社fondiの創業者でCEOの野原 樹斗(のはら たつと)さんにお話を伺いました。
世界196カ国で約200万人以上に使われている日本発のアプリ

fondiは「カタコト英語から始まる、バーチャル海外生活」をコンセプトとする日本発の“英会話メタバース”で、スマートフォン(スマホ)で利用することができます。2020年5月にサービスを開始し、現在、累計200万インストールを突破。
「fondiはユーザーが自身のアバターを作り、メタバース空間で他のユーザーと実践的な英会話を学べるアプリです。世界196カ国、200万人以上のユーザーにご利用いただいており、他のユーザーとボイスチャットで英語で会話をすることができます」と野原さん。

「大きな特長は、アバターを介するため相手に自分の顔が見えず、恥ずかしがらずに話せること」と野原さんは言います。
確かに、英会話教室でも生身の人間(講師)が目の前にいると、話す時、ちょっと勇気がいりますよね。
fondiのメタバース空間には、コミュニケーションを促すための「仕掛け」がたくさん散りばめられています。
「ゲームのように楽しめるインタラクティブな体験ができると同時に、コミュニケーションのハードルを下げる工夫をしています」(野原さん)
学ぶための工夫がさりげなく散りばめられている
例えば、fondiのメタバースには「Plaza」「Lounge」「Home」といったエリアがあり、それぞれに役割があります。
Plazaでは世界中のユーザーが自由に歩き回りながら、ほかのユーザーと会話したり、ミニゲームをしながらコミュニケーションすることができます。fondiのエントランス的な空間でもあります。
実際にPlazaに入ってみると四六時中、数多くのアバターが行き来しています。中にはこちらを見つけて、フレンドリーに話しかけてくるアバターも。会話を始めるきっかけが豊富にある印象です。

Loungeでは同じ嗜好をもつユーザーが集まり、一緒にテレビを観て歓談したり、特定の話題について話したり、単語ゲームをプレイできます。仲間と、より深い内容の英会話を練習することができます。

そしてHomeはマイページ的な役割をもつエリアで、fondi内で話した英会話量の記録を見たり、自分のアバターを着せ替えしたりして、次の英会話に備えることができます。
「いずれのエリアでもアバターを介するため、自分の顔を他の人に見られることがありません。ある意味、“サンドバッグ”としてアバターを活用し、下手な英語でも、間違えながらでも、リアルタイムのコミュニケーションを繰り返していくことができます」と野原さん。
冒頭で述べたように海外ユーザーが多いのもfondiの特長です。海外ユーザー比率は約98%にのぼります。
メタバースは24時間いつでも入ることができるため、時差に関係なく英語を学びたいユーザーが世界中から参加しています。
国籍はインドネシア、インド、バングラデシュ、パキスタン、アフリカのモロッコ、アルジェリア、エチオピアなど。
「発展途上国で英語をマスターすれば外資系企業に就職しやすくなります。fondiで英会話を学び、収入を劇的に増やし、人生をより良い方向に変えることができたユーザーが海外にはたくさんいます」(野原さん)
なお、fondiの利用料金は月額1,950円(日本国内価格)ですが、無料アカウントでも15分ごとに広告を視聴することで無制限に利用することができます。
国ごとの貧富の格差を解消する役割も果たす——。fondiにはそんな一面もあるんですね。
メタバースで自信を積み重ねながら学ぶ
野原さんは「Confidence Driven Learning」という考えを大切にしています。
これは「自信」を基盤とした学習アプローチのことで、fondiでは具体的に「心理的障壁を下げる工夫による学習意欲の向上」「小さな成功体験の積み重ねによる自信の醸成」「段階的なチャレンジ機会の提供による継続的な成長」のことを指しています。
何気なく会話が始まったり、決まったテーマで会話を楽しんだり、自分の学習量を振り返って確認したり——。fondiが備えている数々の仕組みは、このような考えをベースにしています。
さらに「Confidence Driven Learning」をユーザーに促すものとして、「発信ユーザー」の存在が挙げられます。
発信ユーザーはfondiに入会したばかりの初心者を会話に誘ったり、自主的にトークイベントを開いたりすることを通じ、fondiの運営に貢献している人たちです。
「最初はfondiで英会話を習得したユーザーたちが、自主的に初心者のサポートをやり始めたことがきっかけでした」(野原さん)
fondiの運営上、発信ユーザーの存在は大きなメリットがあるため、現在は活躍の度合いに応じて「Certificate(証明書)」を授与し、制度として運用しています。
万が一、他人に迷惑を掛けるユーザーがいたら、発信ユーザーを通じて報告される仕組みもあるそうです。
「一部の国では、fondiのCertificateを履歴書に添付することで、採用に有利に働くことがあります。熱心な発信ユーザーがメタバースを活発化し、それによりユーザーのコミュニケーションが活性化していく良いサイクルが生まれています」(野原さん)
大学や企業もfondiに注目
新たな英語学習手段として、fondiは各大学や企業限定にクローズドなメタバース空間も提供しています。学習効果を上げるため、クローズドなメタバース空間に発信ユーザーの派遣もしています。

発信ユーザーの中でも特に英語力が高くサポート経験が豊富なユーザーを、さらに「Buddy」として選抜する制度もあります。、
Buddyはfondi内の「fondi Buddy Talk」(月額3,980円)というサービスの加入者に対して英会話レッスンパートナーとなり、それによって報酬を得ることができるのです。
fondi Buddy Talkは一般ユーザーのほか、前述の大学・企業ユーザーにも提供されています。
fondiの運営に貢献する熱心なユーザーが、fondi内で英会話を軸にした付加価値のあるコンテンツを生み出し、それにより報酬を得ることができる——。つまり、運営側とユーザーがWin-Winの関係を築いているのです。
今後はVRゴーグルなどのプラットフォームに対応するとともに、さまざまな教育機関との連携を強化していくとのこと。そして、「より幅広く海外諸国へfondiを提供できるよう、グローバルチームの拡充も計画しています」と野原さんは言います。
国境をまたいで世界に広がり、人々をつなげ、新たなビジネスや経済圏を育む——。fondiはメタバースの可能性を大いに生かしたサービスということができるでしょう。
XRやメタバースの関係者は、fondiの今後の事業展開から目が離せません。
あっ、「英会話学習が三日坊主で続かない」という人は、ぜひfondiのアプリをダウンロードしてみてください。