
瞳孔間距離(IPD)とはなにか

瞳孔間距離(IPD)とは「Inter Pupillary Distance」の略語で、正面を見たときの右目の瞳孔の中心から左目の瞳孔の中心までの距離を表します。
ミリメートル単位で測定し、メガネ・XRデバイスなどのレンズを作成・調整する際に重要な数値です。なお、IPDの数値には個人差があります。
XRデバイス関連ではIPD、眼鏡業界ではPDと表記されることが多いですが、どちらも瞳孔間距離の略語です。
瞳孔間距離はレンズを通した視界を調整するのに必要

レンズには、光学中心という焦点距離の基準となる中心点があり、ユーザーのIPDと、レンズの光学中心間距離が一致していると、レンズ越しの視界が鮮明になります。
逆にIPDがずれてしまうと、レンズ越しの視界がぼやけるため、目の疲れ・頭痛・めまい・視力低下・斜視など、さまざまな悪影響を及ぼします。
メガネの場合は眼科や眼鏡店でIPDを測定してもらえますが、XRデバイスの機種によってはユーザー自身での測定や調整が必要です。
XRデバイスの種類によっては、ダイヤルを回したりボタンを押したりするだけで調整できる機種などがあり、ユーザーにIPDの知識がなくても調整できます。
IPDを調整すると映像コンテンツの表現がリアルになり没入感が高まるため、現実的で印象的な体験が可能です。
ただし、特にグラス型デバイスにおいてはIPD調整ができないデバイスもあるため、購入前に確認することをおすすめします。
IPDの数値は、±2mmまでの誤差は許容範囲です。
デバイスのIPDとユーザーのIPDのずれが広がると、映像酔いの原因となります。XRデバイスの購入前に、IPDの調整可能範囲を確認しておきましょう。
ただし、IPDを合わせても鮮明に見えない場合は、近視や乱視の可能性があります。その場合、視力補正機能やインサートレンズを使うとよいでしょう。
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日本人における瞳孔間距離(IPD)は60mmから70mmの範囲が一般的
日本人のIPDの平均は、下記程度とされています。
性別 | 一般的な瞳孔間距離(mm) |
---|---|
男性 | 60~70 |
女性 | 60~64 |
女性よりも男性のほうがIPDは大きくなる傾向にありますが、個人差があるため参考程度としてください。
子どものIPDは、頭蓋骨が小さいため大人より短く、年齢が上がるとともに長くなります。
(参考:瞳孔間距離(PD)ってなに?測定方法と合わせて紹介!|メガネの田中)
瞳孔間距離(IPD)を測るための3つの方法
IPDの測定方法は3種類あります。
- 自分で鏡を見ながら定規で測定する
- 眼科・眼鏡店で測定する
測定方法その1:自分で鏡を見ながら定規で測定する

最も簡単な方法としては、自分で定規を用いて測定する方法があります。
鏡の前に立って定規を両目の上にあて、左目の中心に定規の0mmを合わせてから、右目の中心までの距離を読み取ります。
また、誤差を少なくするために、誰かに定規で測定してもらう方法もおすすめです。
測定方法その2:眼科・眼鏡店で測定する
眼科・眼鏡店では、PDメーターという機械を用いてIPDを正確に測定できます。
自分の正確なIPDを把握しておきたいという方は、専門家に測定してもらうとよいでしょう。
XRデバイスにおける瞳孔間距離の範囲は51~75mm程度
各種XRデバイスにおけるIPDの調整範囲は次のとおりです。どの製品も、日本人の一般的なIPD値に対応しています。
デバイス名 | デバイス種別 | IPDの範囲 | IPD調整方法 |
---|---|---|---|
Meta Quest 3 | VRゴーグル(VRヘッドセット) | 53~75mm | 初回起動時にIPDなどの調整方法の映像が表示される。IPDはダイヤルを回して調整する。 |
Meta Quest 3S | VRゴーグル(VRヘッドセット) | 58~68mm ※3段階での調整 | VRゴーグル内側にあるレンズの外側部分を軽くつまんで左右に動かし、最も鮮明に見える位置にくるまでレンズを調整。 |
VITURE Pro XRグラス | XRグラス・ARグラス | 57.5~69.5mm | IPD調整不可 |
Apple Vision Pro | MRデバイス | 51〜75 mm | 目の位置がずれている場合は、画面上に緑色のチェックマークが表示されるまでDigital Crownボタンを長押しする。 |