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加速度センサーとは?スマホやXRデバイスでの役割や計測の仕組みを解説!

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加速度センサーは物体の加速度を測定するセンサー

電子機器などを中心に、物体の向きや動きを検出するために、加速度センサーやジャイロセンサーを搭載したものが世の中に溢れています。

加速度センサーは、物体が移動したときに生じる加速度を測定するセンサーです。上下・左右・前後の3軸方向の移動速度の変化や、物体の加速度からデバイスの傾き、振動、衝撃を検知します。

加速度センサーが応用されている分野は以下のとおりです。

  • スマートフォン(傾き検知・歩数計など)
  • ドローン(飛行姿勢の維持)
  • 車(エアバッグやABSなど)
  • ビルや橋梁などの傾斜
  • 機械の不調予知(振動を検知)
  • XRデバイス(着用者の移動を検知)

また、多くの電子機器では、加速度センサーと一緒にジャイロセンサーが搭載されています。ジャイロセンサーとは物体の回転(向き)を測定するセンサーです。

ジャイロセンサーについては、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひ読んでみてください。

▽関連記事
XRデバイスに欠かせない技術!ジャイロセンサーとは?【知っておきたいXRの専門用語】

加速度センサーの種類は5つ

加速度センサーには、主に静電容量型・ピエゾ抵抗型・圧電型・サーボ型・熱検知型の5種類があります。

それぞれの特徴や主な応用先は以下のとおりです。

種類

特徴

主な応用先

静電容量型

小さな加速度の検知が得意で、周囲の温度に影響されにくい

自動車の傾き検知や車体制御

ピエゾ抵抗型

低コストで大量生産が可能

スマホ・家庭用ゲーム機

圧電型

落下や衝突などの高加速度も測定可能

自動車の衝突検知・落下試験など

サーボ型

高感度かつノイズ(不要な加速度を検知してしまうこと)が少ない

地震や建築物の振動の検知

熱検知型

重りを使用せず、センサーにヒーターで熱気流を発生させ、加速度により変化する対流を熱抵抗(熱の伝わりやすさを数値化したもの)で検出する

工業炉や過酷な環境下での利用など

このうち、静電容量型とピエゾ抵抗型、熱検知型はMEMS(微小電子機械システム)加速度センサーと言われており、XRデバイスにも搭載されています。

加速度センサーの仕組み

ここでは圧電型の加速度センサーを例に、物体の移動から加速度を計測する仕組みをステップに分けて解説します。

圧電型の加速度センサーは、中に小さな重りがバネなどにつながれた状態で入っており、重りがどれだけ動いたかによって加速度を計測する仕組みです。

<ステップ①>

静止状態の加速度センサー内

静止状態の加速度センサー内は、重りと、力を加えると電圧が発生する素材(圧電素子)がそれぞれ接して配置されている状態です。

<ステップ②>

重りの移動時

物体が上方に移動すると、止まっている物体はそのまま止まり続けようとする性質(慣性の法則)により、重りはセンサー内の中央から下方向に移動します。(図解に記載のとおり、重りが下方向に圧力をかける形になる。)

図にはありませんが、逆に物体が減速すると、今度は逆(上)方向に重りが動きます。慣性の法則により、動いている物体はそのまま動き続けようとするためです。

ちょうど、エレベーターの上昇時には体が重く感じ、下降時には体が若干浮く感じがするのと同じです。

<ステップ③>

圧電素子から発生した電圧量の大きさで加速度を測定

重りが移動すると圧電素子が伸縮し、電圧が発生します。圧電素子に大きな力が加わる(物体が速く加速する)ほど電圧は大きくなります。

こうして、物体(重り)の移動によってどれくらいの電圧が発生したかを読み取ることで、加速度が計測できるのです。

XRデバイスにおける加速度センサーの役割

XRデバイスにおける加速度センサーの役割

XRにおけるバーチャル体験は、物体を動かせる方向の自由度(DoFと呼びます)に応じて3DoFと6DoFに分類できます。

3DoFは、首を上下・左右、見渡すように振る動きが可能で、YouTubeにある360°動画をはじめとする、体を動かさず、その場で首だけを動かして見回す体験が可能です。

6DoFでは、3DoFに加えて上下・左右・前後の移動もデジタル空間に反映されるため、デジタル空間内を歩き回るような体験が可能になります。

XRデバイスにおいて、加速度センサーはジャイロセンサーと合わせて頭や手の傾きや動きを検出する役割を果たしています。

加速度センサーは3DoF・6DoFどちらのデバイスにも搭載されていますが、とくにデバイス着用者の物理的移動を検知する6DoFでは欠かせないパーツです。

3DoFにおける加速度センサーの役割の一つとしてドリフト補正があります。「ドリフト」とは、ジャイロセンサーが静止している状態でもわずかに動いていると誤って計測してしまうことで、その誤差が蓄積してだんだんと映像がズレる現象のことです。

ジャイロセンサーはその特性からドリフトが発生しやすいため、加速度センサーでズレを補正して傾き検知をサポートしています。

6DoFでは、加速度センサーが前後・左右・上下の3軸の平行移動を検知し、ジャイロセンサーが3軸の回転動作を検知することで、現実世界での動きがデジタル空間にも反映されています。

このように、XRデバイスでは、ジャイロセンサーと加速度センサーは相互補完の関係にあり、加速度センサーは大きな役割を果たしているのです。

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3DoFと6DoFの違いとは?【知っておきたいXRの専門用語】

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