ヘッドトラッキングとは?
ヘッドトラッキングとは、頭の動きに合わせて表示される映像や音の方向を変える技術です。XRデバイスや3Dオーディオシステムといったさまざまな機器で活用されています。
ユーザーの頭の動きに伴って周囲が変化することから、リアリティのある体験が可能になります。
現実世界で横を見ると目の前の景色が変わり、スピーカーから距離を取ると音が少し小さくなるような体験を、XR空間で実現する技術と整理するとわかりやすいでしょう。
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ヘッドトラッキングの仕組み
ヘッドトラッキングは、加速度センサーやジャイロセンサーで頭の動きを検知することで実現した技術です。
それぞれのセンサーが検知する頭の動きは、以下のとおりです。
センサーの種類 | 測定内容 |
---|---|
加速度センサー | 頭の傾き・回転 |
ジャイロセンサー | 頭の回転速度・方向 |
機器にこの2つのセンサーが搭載されていることで、頭の動きを追跡し「上下」「左右」「回転」の3方向を検知することで3DoFを実現し、さらに体の位置移動を加えた6方向を検知することで6DoFを実現します。
その結果、映像が見える範囲や音の聞こえ方が、頭の方向や角度によって変わります。
さらに地球の磁場をもとに方位を検出する地磁気センサーを組み合わせることで、誤差や測定値のズレを補正し、より精密なトラッキングが可能です。
AR(拡張現実)・MR(複合現実)・VR(仮想現実)におけるヘッドトラッキングは、ゲーム・シミュレーション・トレーニングなどさまざまな分野に応用されています。
VRゴーグルなどのヘッドトラッキング対応デバイスを装着することで、ユーザーの頭の動きと映像や音の出力が連動し、よりリアルな体験を得られます。
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XRデバイスでヘッドトラッキングがもたらすユーザー体験
XRデバイスに精度の高いヘッドトラッキングが用いられることで、VR体験がより魅力的なものとなります。
例えば音楽コンサートのVR鑑賞です。複数の楽器で演奏される場合、耳を傾ける方向を変えると少し音が変わって聞こえますが、VRでこれを実現できるようになります。
この他にも、FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)など、音の方向や頭の位置を動かすことで敵の位置を把握するゲームでは、よりリアルに近い体験ができるようになるでしょう。
XR体験で問題に上がる「VR酔い」も、トラッキング精度が高まることで、発生しにくくなると言われています。