VRデバイスやARグラスなどを購入しようとすると、必ず目にするのが「リフレッシュレート」というワード。
「90Hz対応」や「高リフレッシュレート」など頻出する単語のため、ぜひ知っておきましょう。
本記事では、XRに関連する、知っておきたい用語について解説します。
リフレッシュレートとは
リフレッシュレート(refresh rate)とは、一定の間隔で情報更新(リフレッシュ)が必要なディスプレイ等の機器で、画面を1秒間に書き換えられる回数を表す数値のことを指し、単位はHz(ヘルツ)で表されます。
例えば、リフレッシュレートが120Hzの場合、1秒間に120回画面が更新されるということを意味します。
リフレッシュレートの数値が高いほど、滑らかでちらつきが少ない映像を楽しむことができ、目の疲労を発生させにくいとされています。
フレームレート(fps)との違い
リフレッシュレートとあわせて語られることの多いフレームレート(frame rate)ですが、こちらは「1秒間に出力機器が生成・送信できる映像の数」を指します。
フレームレートの単位は「fps」で「frames per second」の頭文字をとったものです。リフレッシュレートとフレームレート、どちらも映像の滑らかさに関わる数値であることは同じですが、「出力側」と「表示側」という違いがあります。
つまり、フレームレートは「パソコンなどの出力機器がどれだけの間隔で映像情報を送るか」なのに対し、リフレッシュレートは「液晶モニターなどの表示機器がどれだけの間隔で映像情報を更新できるか」という点で異なります。
リフレッシュレートはどんなときに大事?
リフレッシュレートが高いことで得られるメリットとしては、やはりVRゲームなどを利用する際の「滑らかさ」です。
リフレッシュレートが低いと、画面がカクカクとして動きが不自然になったり、反応が遅く思うように動作しないといった事象が発生します。
VRゲームなどを楽しみたいという人は、自身が遊ぼうと思っているコンテンツに最適なリフレッシュレートはどれくらいか気にするとよいでしょう。
リフレッシュレートが低いと「VR酔い」しやすくなる?
VRゲームなどをプレイしている際に、見ている画面に違和感が生じ、気分が悪くなる現象のことを「VR酔い」と言います。
VRのリフレッシュレート、解像度、ハプティクス(触覚フィードバック)、立体視などの効果を長年研究している中国の西交利物浦大学(Xi'an Jiaotong-Liverpool University)から「VR酔いはVRヘッドセットのリフレッシュレートが大きく影響している可能性がある」とする研究結果が発表されました。
「VR酔い」が起きる原因としては、ゲーム内などで自身のアバターが移動した際に視点の移動が現実とのズレを起こすことが原因で引き起こされるソフトウェア由来のタイプと、トラッキング※やレンズなどに起因するハードウェア由来のタイプがありますが、本研究では、主に後者のハードウェア由来のVR酔いについて論じられたものです。
※トラッキング:頭や手、体の向きや動きなどを感知する技術のこと
120Hzがリフレッシュレートの重要な閾値(いきち)
西交利物浦大学は、リフレッシュレートがVR酔いに影響するかを実験するテストとして、18歳から51歳の男女32人に「Pimax 5K Super」を装着させ、60Hz、90Hz、120Hz、180Hz環境下で、どのような違いがあるかを調査しました。
結果として、120Hz環境では60Hzや90Hzと比較して、VR酔いが減少したとのこと。ただし120Hzから180Hzにリフレッシュレートを上げた場合は、あまりVR酔いは減らなかったそうです。その結果から、研究チームは120Hzが“重要な閾値(いきち)”と論じています。
本調査で使用したのは「Pimax 5K Super」というデバイスで、他のVRヘッドセット(Meta Quest 3など)は、画面の見え方や視野角などが異なるため、今回のテスト結果を、他のデバイスにそのまま当てはめる(一般化する)ことはできないので注意が必要です。
高リフレッシュレートの落とし穴
高いリフレッシュレートがあるとさまざまな面で良いというのはこれまでの内容で認識したと思いますが、高いことによる落とし穴も存在します。
1.消費電力が大きい
高いリフレッシュレートになればなるほど、消費する電力が大きくなります。VRデバイスなど、バッテリーを充電して使用するデバイスでは、リフレッシュレートが低いものと比べると充電の減りが早くなります。
2.出力側のフレームレートが影響
VRデバイスなどの表示側のリフレッシュレートがいくら高くても、出力側(PCなど)のフレームレートが低い場合は、出力側のフレームレートにあわせて表示されます。
例えば、表示側が120Hzの高リフレッシュレートの描画性能を持っていたとしても、出力側が30fpsの情報しか送信しない場合、30Hzで表示されてしまいます。
より高い没入感を得るために、自身が選ぶデバイスのリフレッシュレートがどれくらいか確認して購入するようにしましょう。