「VRとARって何が違うんだっけ?」
「あれ?MRってなに?」
そんな質問をされたとき、あなたはどう答えますか?本記事では、その回答を示していきます。
VRとAR、そして”両者の中間”と言われるMRを3秒で簡単に説明する方法と、それぞれの特徴と活用事例についてお伝えします。
VRとARの違いは「眼の前の景色が変わるか?」
まず、それぞれの少し長めの定義を確認してみましょう。
VR(Virtual Reality:仮想現実)とは
CGで人工的な環境を作り出し、あたかもそこにいるかのように感じさせる技術。基本的にゴーグル(ヘッドマウントディスプレイ)を装着します。すべてがデジタル情報で構築された空間であることが特徴です。
AR(Augmented Reality:拡張現実)とは
現実の風景にコンピューターで生成したデジタル情報を重ね合わせ、現実世界が拡張したように見せる技術。現実世界を平面的に認識し、本来存在しない情報が、スマートフォンを風景にかざすことで現れる形が代表的ですが、メガネ型のデバイスもあります。
MR(Mixed Reality: 複合現実)とは
VRとARの技術を融合した技術。デジタル空間に現実空間の情報を取り込み、現実空間とデジタル空間が融合した世界をつくることが可能。ARは現実世界を平面的に認識しているのに対し、MRは現実世界の物体や空間を認識して、CGを自然に融合させている点が違いです。例えばMRの場合、同じMR空間を複数の人間がリアルタイムに体験ができるのでARとは異なる体験になります。基本的にゴーグルやメガネ型のデバイスを装着するか、スマートフォンで体験できるものもあります。
…と、説明しましたが「こんな説明文を丸暗記しなければならないのか!」と思った方はちょっと待ってください。
それぞれ、3秒で言いたいならば、こんな風に覚えればよいでしょう。
・VRは、眼の前の景色が実際と違う。全部CG空間の風景。ゴーグルをつける。
・ARは、眼の前の景色が(ちょっと)変わっている。現実空間にデジタル情報が重なっている。スマホをかざしたり、メガネ型のデバイスをかけることで見える風景。
・MRは、眼の前の景色がCGと現実空間が共存して融合している。ゴーグルやメガネ型のデバイス、スマートフォンで体験できる。
VR、AR、MRをもう少し詳しく説明するなら…
というわけで、それぞれを3秒で説明する方法は紹介しましたが、もう少しそれぞれの特徴について具体的に説明します。
VRの特徴と活用例
VRを使う場合、原則的に目を覆うヘッドセットとヘッドフォンを着用します。これは、VRが現実の世界からできる限り引き離すという着想に基づいているからです。
そのため、VRはその没入感に最大の特徴があります。例えば宇宙空間の様子や歴史上のできごとを体験したい場合はVRが向いていると言えるでしょう。
なぜなら、私たちが生きているこの現実世界で、宇宙空間や、縄文時代など過去の時代を肉眼で観察することは不可能に近いからです。
そのため、時空を移動したような体験を得たい場合は、VRを使うことでそれが手軽に体験できることがわかるでしょう。
ほかにVR の活用例として、医療の分野が挙げられます。
人体の構造を学んだり、手術訓練を行う場合、VRが持つ没入感は武器になります。現実では何度も繰り返し行うことが難しい訓練等を行える、というVRのメリットを十分に活かした例と言えます。
ビジネス領域においては、不動産業界におけるバーチャル内覧会は比較的普及していると言ってよいかもしれません。VRゴーグルを使えば、顧客は現地を訪れることなく、物件の内観や外観などを体験できます。これによって顧客は物件のイメージを浮かべやすくなり、成約につながりやすくなるでしょう。
また、VRは遠隔作業で指示を送れる点で、地方の担当者への指示や、海外など遠隔地の工場視察にも向いています。
このように、ビジネスにおけるVR活用は、現地までの交通費と時間を削減できるというメリットを最大限に享受できることが多いのです。
ほかにVRを活用した身近な例として、エンタメ領域ではアクションジャンルのゲームが思い浮かべやすいでしょう。
VRの世界に入り、武器やアイテムを使ってモンスターと戦う。VRゲームはテレビとは異なり、目の前にゲームのキャラクターがいるように感じるので、その没入感にハマる人も少なくありません。
このように、VR技術は現実的にその場所に赴くのは難しいこと、行けるとしてもコストがかかること、などの領域で活用されていることがわかるはずです。
ARの特徴と活用例
ARは、スマホやタブレット、メガネ型のデバイスを使用して、リアルにデジタルを重ねるようになっています。あなたがAR対応の対象物にデバイスのカメラを向けると、そこに情報が追加され現実が拡張する形です。
そのため、服をCG化して画面越しに試着したり、美容院でヘアカラーをARを使って試してみたり、家具を部屋に置いたときのシミュレーションができるARアプリが日本国内でも普及しています。
すでにファッション業界ではGUCCI、ZARAなどがARを活用したサービスを提供しており、ほかにコスメ業界では、資生堂がメイク商品でバーチャルシミュレーションができるスマホ向けアプリを提供しています。
ただ、多くの人が「カメラ越しの世界にCGを追加する技術」というARの特徴を聞いて思い浮かべるものは「ポケモンGO」ではないでしょうか。女性ならばスマホのカメラ越しにメイクや動物のフィルターを施せるアプリ「SNOW」が身近かもしれません。
というわけで、ARはゲームや遊びの領域で比較的身近と言えます。
もう少し私たちの生活をより良くする領域に目を向けてみましょう。
医療業界では、ARを使った手術用のiPad アプリがあります。
カメラを使ってiPadの画面上に患者の身体を映し出すと、患者の身体に重要な血管の位置を重ねて表示することができるこのアプリ。血管の位置が確認しやすくなるため、医師にとって手術時の強力な武器となります。
また、ARは製造業の分野でも活用が進んでいます。建築や土木業界では、ARを活用した危険回避のための仮想体験を行えば、そのリスクを大幅に下げられるのです。
ここまで聞けば、ARはカメラひとつで体験できるという意味でVRよりも手軽であり、それゆえに、ゲームやファッション、コスメなどのビジネス領域から医療まで幅広く展開されていることがわかるはずです。
MRの特徴と活用例
MRはARの発展版のようなものなので、私たちの生活で普及しているイメージが浮かびにくいかもしれません。
MRはスマホなどの機器をかざすのではなく、メガネやゴーグル型の専用デバイスを装着して両手を自由にした状態で体験できるものです。
わかりやすい活用事例として挙げられるのは、同じ空間で複数人が集まる会議です。
MRは現実空間にある物体を認識できるので、同じ空間に存在する人も認識できます。そのため、MRゴーグルを装着し、会議室の空間上をホワイトボードのように使って議事録を描いたり、みんなで3Dの立体を眺めながら議論ができるのです。
まとめとちょっとだけ補足
最後に、VR と AR・MRの活用例の違いから言えることをまとめましょう。
両者の違いは「基本となる空間」にあります。VRで見える世界はあくまで人工物です。一方、ARとMRで見える世界は現実をベースにしています。
これに加えて、ユーザーの年齢層の違いも挙げておきましょう。
VRは一般的に年齢制限が設けられています。VRゴーグルは一般的に13歳以上、VR体験施設は7歳未満は利用不可、7歳以上13歳未満は保護者の同意が必要となっているケースが多いのです。
これは子どもの目や脳が未発達であることが関係しています(ただし、医学的には諸説あります)。
今回の記事では、VR、AR、MRを簡単に説明できる方法に特化して解説しました。
それぞれの医療、ビジネス、エンタメにおけるより詳しい活用事例はまた別の記事で紹介しましょう。